その他の物損 加古川の弁護士が解説

・雑 費
 これまで裁判例に現れたものとしては次のものがあり、損害として認められます。
保管料、車両の引揚げ費、レッカー代、時価査定料、通信費用、交通事故証明交付手数料、代替車整備費、代替車ェンジン調整費、代替車看板文字代、廃車料、車両処分費、荷台・クレーンの載せ替え費用、カーナビおよび盗難防止装置の移設費用、修理見積費用、解体費用など、車両の損傷から生ずる種々の損害がありうる。

・営業損害等
「家屋や店舗に車が飛び込んだ場合等に認められる」とされます。
これらの場合には家屋や店舗の修理費や営業損害が発生します。
① 家屋や店舗の修理費用は、原則として全額が損害と認められます。修理が広範に及んだ場合など、建物自体の耐用年数が延長した場合に損益相殺として減価償却が考慮されることがあります。
② 店舗などに車が飛び込んだ場合、店舗に展示等されている商品が損傷するが、修理によって販売できるものとはならないため、全額が損害と認められます。また、仕入費用が認められることもあります。
③ 店舗の修理期問中、営業を休止しなければならなかったために生じる損失も原則として損害と認められます。損害額の把握については争いになることが多いです。

・積荷その他の損害
 被害車両に積荷等があった場合、それらに生じた損害です。物理的に棄損した場合に限らず、経済的にみて商品価値を喪失した場合にも認められることがあります。

・物損に関する慰謝料
 原則として、認められません。
 不法行為によって物的損害をこうむった場合に、民法709条・710条の規定からは慰謝料の発生は否定されないが、物的損害に関しては、その損害が填補されて回復すれば、同時に精神的損害も填補されて回復したとみることができるといわれているため、物的損害の填補を超えて慰謝料を請求することは原則として認められません。
 しかし、事案に照らして交通事故によって則産権だけでなく、それとは別の法益が侵害されたと評価できる場合には慰謝料が認められる余地があります。具体的には、侵害された財産的利益が被害者にとって特別の愛情を抱かせるものであったというように、特別の感情的利益、主観的一精神的価値を有していたと認められ、それが財産的損害の賠償では到底償いきれないほど重大であった場合や、あるいは、加害行為が著しく反道徳的であったり、害意を伴うなど被害者に著しい精神的苦痛を与えるような仕方でなされるなど、被害者の愛情利益や精神的平穏を著しく害したと一般入の常識に照らしても肯定できる特段の事情が存する場合には認められる余地があります。
 しかし、通常、過失で引き起こされる交通事故の場合には、物的損害とは別に慰謝料が認められた例としては、車両が家屋や店舗に飛び込んだといった事例やペットが死傷した例(ペットについては次に述べる)など、人損はないもののその異常性から精神的平穏を強く害したとして認めた裁判例はありますが、車両そのものの損傷を理由に慰謝料を肯定したものはほとんどありません。

・ペットに関する損害
 ペットは、民法上は物として取り扱われるが、生命を有したものであり、「何人も、動物をみだりに殺し、傷つけ、又は苦しめることのないようにするのみでなく、人と動物の共生に配慮しつつ、その習性を考慮して適正に取り扱うようにしなければならない」(動物の愛護及び管理に関する法律2条)とされています。
 また、心の癒しをペツトとの関係に求める者も多く、ペットと人との関係は単に物を所有しているという以上の意味を有しています。したがって、経済的全損の観念を入れることなく取り扱う必要があります。
 そのため、裁判例においても、単純に物損とは異なる扱いがなされてきており、治療費、交通費、血液検査費用、葬儀費用、慰謝料などが認められています。
 その傾向は、今後も変わらないと考えられます。

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